【文章術】思考の整理学/外山滋比彦
¥546
【要約】
東大・京大で一番読まれた本
「"もっと若い時に読んでいれば…"そう思わずにはいられませんでした。」
本書は、「思考」つまり、「考え」を著者の経験とともに、どう捉えるかが書かれている。
人間を「グライダー人間」と「飛行機人間」の2つに分け、学校はグライダー人間を作るのはうまいが、飛行機人間は作らないと。
「グライダー人間」は自分の力では飛べず、周りの流れに乗って飛べる
「飛行機人間」は、自力で自由自在に飛べる。
学校はなんでも教えを与え、受動的な人間に成長させるのはうまい。
しかし、コンピュータが出現し、グライダー人間ではこれから生きていくのは難しいという。
この考えを1980年代に提案しているあたり、すでに序章からすごさを感じさせる。
思考において、「アイディア」と「素材」がただ頭の中にあっても、ブレイクスル―は起きないと著者は言う。何が必要かというと「寝かせる」こと。ビールが発酵するかのように、果報は寝てまてと。
また、「触媒説」では、
「新しいこと考えるのに、すべて自分の頭から絞り出せると思ってはならない。無から有を生ずる思考などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって新しいものが生まれる」(P.56,57)と言っている。
記憶に関しては、記憶するには「メモを取らない」、忘れるには「他のことをする」ことを薦めている。なかなか学者らしくないことを言うところが面白い。
なお、昔の人々に「博覧強記」の人が多いのは、今に比べ、ネットもなく、参考文献などの総数も少なく、記憶に頼らざるおえなかったからだと。つまり、今の日本人は記憶しなくても、ネットがあるし、本はあるし、安心してまぁいっかと「記憶」の機能が退化していったと考えている。
うーむ、納得します。
逆に言うと、「記憶」するには、ネット、本に頼らないようにすべきということか。
書評ブログを書いてるのは、読んだ内容を忘れないようにするためですが、書いたことで安心して忘れてしまうんでしょうかね。ジレンマに悩まされます。
3年ほど前にベストセラーになった本で、その頃読んだときはあまりなにも思わなかったけど、今読み直すと非常にいい事が書かれています。
【総合評価】
★★★★★
【一言メモ】
■セレンディピティー
思いがけない偶然から、まったく別の新しい発見が導かれること
■ニュートンの言葉
「世間ではわたくしのことをどう思っているか、知らないが、自分では、自分のことを浜辺で遊んでいるこどもみたいだと思っている。ときどき珍しい小石や貝を見つけて喜んでいるが、向こうにはまったく未知の心理の大海が横たわっているのだ」