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【仕事術】イシューからはじめよ/安宅和人

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イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」/安宅和人

¥1,890

Amazon.co.jp

2011年28冊目

【要約】

本屋さんでも何度か見て、ネット上での評判もよくて前から気になっていた本書をやっと読みました。

副題の-知的生産の「シンプルな本質」-という言葉で、昨日書評した「ラクして成果が上がる理系的仕事術」にも知的生産という言葉があったなと思いだしました。

本書で書かれている「イシュー」とは、私個人的に一言で言い表すならば、

「問題に対して、最適な仮説を立てること」か。

本書の構成は、まずはじめに「犬の道」という例えで、いかに「イシュー度」を高めることが重要かを説いている。

第1章:イシュードリブン(目の前の問題に対し、よいイシューを立てるには?)

第2章:仮説ドリブン①(イシューを細分化し、再構成しストーリーを立てる)

第3章:仮説ドリブン②(ストーリーを構築し、説得力のあるデータをどう集めるか?)

第4章:アウトプットドリブン(実際にデータを分析していく方法)

第5章:メッセージドリブン(いかに結果をわかりやすく報告するか?)

と言った構成になってると思います。

本書では、問題の本質に対して横軸を「解の質」、縦軸を「イシュー度」とし、右上に行くほどよいという前提で、多くの人は解の質を上げてから、イシュー度に行こうとしているが、それでは本質が見える可能性は非常に低いとしています。

これを「犬の道」としており、簡単に言うと、どんなによい結果が得られたとしても、仮説が間違っていれば、問題の本質とズレており、意味のない解になってしまうことを警鐘しています。

そのため、時間がかかってでも、最適なイシュー(仮説、前提条件)を立てることが重要だとしています。本書では、このイシュー度をいかに高くするかのテクニックが書かれています。

よいイシューの3条件

▼1:本質的な選択肢である

▼2:深い仮説がある

▼3:答えを出せる

特に、「3:答えを出せる」は重要と感じた。

いかに良い仮説だろうと、検証する手立てがない、説得力のある数字が出せないなど、あとになってから気づくことも多いので、勉強になった。

<所感>

前評判が高いので、過剰に期待しすぎた感もあってか、私には、ちょっと期待はずれの内容でした。

理由は、理系職(研究職、開発職、大学の研究者)にとっては、基本的に身に付いているような内容です。文系の人には新しい発想かもしれませんが、理系の人には物足りないと思います。

【こんな人にオススメ】

・いつも「根性」でひたすら色んな検討をしてしまっている。

・最適な仮説が立てられない

・無駄な検討をしたくない

【総合評価】

★★★☆☆

【名言】

ハンス・ベーテ

フェルミは数学にも長けていた。必要とあれば複雑な数学を駆使することもできたが、まずはその必要があるかどうか確かめようとした。最小限の努力と数学的道具で結果へたどり着く達人だった。」

箱守仙一郎

「同じテーマでも、仮説の立て方が周到かつ大胆で、実験のアプローチが巧妙である場合と、仮説の立て方がずさんでアプローチも月並みな場合とでは、雲泥の違いが生ずる。(略)天才的といわれる人々の仕事の進め方は、仮説の立て方とアプローチの仕方の二点が優れて個性的で、鋭いひらめき、直観に大いに依存している」