【仕事術】帝国ホテル サービスの真髄/国友 隆一
2011年1冊目
【要約】
120年の歴史を持つ日本一の格式をもつ帝国ホテルが「お客様」に対してどのような「おもてなし」をしているかを書いている本。
一泊最低でも3万5000円程度で、客室が900室以上あるにもかかわらず、客室稼働率が約80%を誇る帝国ホテル。
本の中身は、もちろん帝国ホテルを取材した中での具体的なエピソードが盛り込まれているが、途中では帝国ホテルは関係なさそうで、著者が考えるサービスの自論が展開されている部分も多々あり、どこからどこまで帝国ホテルの例かわからなくなる部分あり。しかし、「サービスの真髄」とは何かを理解できる内容になっており、特に、サービス業、営業職をやっている方々には、一読してほしい本。
心に残るフレーズとしては、
■努力をしないを「当たり前」にする
⇒努力や挑戦すること自体が体質になるまで、続けるべきである。
それが特別なことであるかぎり、進歩は小さい。努力や挑戦をしないと苦痛に感じるようになったとき、目に見えて進歩をはじめる。
■部屋には鼻から入る
⇒部屋を掃除に入る際、まずにおいに気付くはずである。しかし、そこでどのようなにおい(タバコ、香水、料理、酒、口臭、体臭)か判断しておかないと、人間の嗅覚はすぐ慣れてしまうので、あとでどのようなにおいだったかを判断できない。これは「気付いた時に行動しておくべき」ということにもつながるのでは?と思った。
■価値を決めるのは誰かを知る
⇒帝国ホテルではゴミ箱のゴミでさえも、一日は保管し、忘れ物に関しては最低一カ月、長くて2年保存するという。これは、たとえ、ゴミを処理する従業員が「ゴミ」と判断しても、お客様にとっては「重要なもの」かもしれないということがありえるからだ。あくまで価値を決めるのは所有者であり、勝手に判断してはいけないというもの。
以前書いたことがあるが、仕事の評価にしても、評価するのは自分ではなく他者(上司など)である。自己満足に陥ってはならないという教訓にもなる。
【総合評価】
★★★☆☆
【一言メモ】
1890年(明治23年)、伊藤博文内閣の外相、井上馨の発案で設立された帝国ホテル。
欧米要人との活発な交流のために作られた「鹿鳴館」の宿泊施設として建てられた経緯をもつ。