そこに本があるから

なんで本を読むかって?そこに本があるからさ

【仕事術】知的生産の技術/梅棹忠夫

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【要約】

「知的生産」という言葉の原点となった本。

1969年に初版され40年前にはベストセラーになったらしいが、現在でもまったく色あせないと感じるのは私だけでないはず。

少し前に流行った「思考の整理学」と論調は似ているため、「思考の整理学」に感銘を受けた人にはオススメ。

(というより、外山滋比古氏が本書に影響を受けていたのではないだろうか)

 

 

「知的生産」 ⇒人間の知的活動がなにかあたらしい情報の生産にむけられている(中略)頭をはたらかせて、なにかあたらしいことが-情報-をひとにわかるかたちで亭主することなのだ(P.9)

 

1960年代に出版された書物でありながら、これからの時代はコンピュータが家庭にまで入り込み、ルーティンな仕事だけしかできない人は淘汰されていくと述べている。その中で生きていくには「知的生産」活動ができることが必要となると説いている。

 

・わたしは、たとえばコンピューターのプログラムのかきかたが、個人としてのもっとも基礎的な技能となる日が、意外にはやくくるのではないかとかんがえている。(P.15)

 

本書では、京大式カードの使い方、タイプライターの使い方、手紙の書き方などが書かれているが、現代では、使われないようなテクニックが多いので、詳細は割愛する。

むしろ、この本から学ぶべきは、その従来の方法をそのまま使うのではなくて、自分の使いやすいように手法を改善していくプロセスであろう。

 

「今、普通に使っている方法は、なんだか使いにくいが、このままでいいか」と考えている人は、この本を読んで、意識改革すべきかもしれません、私もそのタイプなので、考え直します。

 

著者は、そこまで見越していたのか、最後に次のようなことを述べている

このシステムは、ただし、まったくの未完成のシステムである。社会的・文化的条件はこれからまだ、目まぐるしくかわるだろう。それに応じて、知的生産技術のシステムも、おおきくかわるにちがいない。ただ、その場合にも、ここに提示したようなかんがえかたと方法なら、十分適応が可能だとおもうが、どうだろうか(P.216)

まさに脱帽です。

 

著者は、この本はハウツー本ではなく、ひとつの提言であり、問題提起であるとしている。

これからは、このような歴史的名著にも手を出していこうと思います。

 

【総合評価】

★★★★★

 

【一言メモ】

著者は「読書」のやり方について、いろいろ書いている。

・ひろいよみとかは、本のよみかたとしては、ひじょうにへたなよみかたである。(P.102)

・一部分だけ読んだ場合には、「よんだ」とはいわない。(中略)「みた」ということにしている。(中略)「みた」だけの本については、批評をつつしむ。(P.102)

・ごく一般論としていえば、一気によんだほうが理解という点では確実さがたかい。(P.106)